核融合炉実現を目指したトリチウム研究の新展開核融合炉実現を目指したトリチウム研究の新展開
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略称/核融合トリチウム 領域番号/476
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平成20年3月14日
ワークショップ
「固体中の水素の溶解・拡散・透過および捕獲、放出
(表面に於ける水素の捕獲および水との相互作用を含む)」


ワークショップ開催の目的

本ワークショップ(意見交換会)は、特に核融合分野で材料と水素の相互作用を研究対象としている研究者が集い、様々な材料中での水素の溶解・放出挙動、拡散/捕獲挙動について現在までに得られている知見を整理するとともに、問題点を指摘し合い、共通認識あるいは共通の物理・化学を抽出し、固体中の水素挙動について総合的理解を深めることを目的としたものである。
重水素(D)と三重水素(T)の核融合反応を利用する核融合炉では、Tの放射性ゆえ、燃料としてのTの収支バランスと燃料システムにおけるTの蓄積・透過・漏洩の厳密な管理が求められる。また天然に存在しないTをブランケットによりLiと、DT反応で発生する中性子との核反応によって生成させ、それを回収しなければならない。この際その回収率が低いと核融合炉が経済的に成立しなくなるおそれがある。このため、Tの核融合炉の各部を構成する材料中への、蓄積、透過、放出量の評価は極めて緊喫の課題である。
一口に核融合炉材料と言っても、高耐熱が要求されるプラズマ対向材として炭素材あるいはタングステン、構造材としてフェライトやSiC等、T増殖材としてLi合金あるいは各種Li化合物等、冷却剤としての水、液体金属、絶縁材や窓材としてのセラミックス等、様々な原子番号を持った材料が、様々な物理形態、化学形態で使われる。一方構造材料中の水素挙動は、特に水素脆化あるいは遅れ破壊等の実用的観点から、長く研究がなされていますが、固体中の水素を見る手段が極めて限られているためか、いまだに解明されたとは言えず、研究が続けられている。また水素は酸素、炭素へのaffinityが高いため、表面および内部の両者に不純物として存在するそれらが、水素挙動に大きく影響する場合もあり、水素とこれら不純物との効果についても議論の対象とした。

総括

核融合環境では、まず多量に使われるプラズマ装置内で、プラズマ対向壁表面に高エネルギー水素が入射し、大部分は再放出されるもののその一部は壁材料中に蓄積される、または材料中を拡散し冷却材中へ透過する。壁表面で再放出された水素は、一部はプラズマにもどるが、残りは排気される。再放出の際、水素は必ずしも水素分子してだけではなく、壁表面の不純物あるいは壁材料そのものと反応し、トリチウム化した水やメタン(有機物)しても排出される。透過してきた水素も、その放出の際に、表面の不純物あるいは、透過側に存在する水等と反応するため、必ずしも水素分子として放出されるわけではない。さらに冷却媒体としての水あるいは、Heなどの冷却媒体中に不純物として存在する水等により、材料が酸化され、この際発生する水素が材料中に溶解し、プラズマ側に透過する。即ちプラズマ側からはDとTが冷却側に透過し、逆に冷却側からはHがプラズマ側に侵入透過するのである。
プラズマ装置から排気されたD,Tは回収システムによって回収・再利用される。またブランケットから回収されたTもプラズマからの排気回収システムと同じまたは同様のシステムで回収される。この際、不純物除去、同位体分離がはかられることになる。回収・純化さらには同位体分離システムや配管を構成するステンレス鋼等の材料表面では(鋼の種類にもよるが)、水素の溶解(酸化により発生する水素を含む)および蓄積、拡散、透過がおこる。
ここで「水素」には、すべての同位体H,D,Tが、その量の多少は別にして、常に共存する。このため、単なる同位体効果ではなく、同位体そのものによる希釈効果、キャリーアガスによる希釈効果、水素中の不純物、あるいはキャリーアー中の不純物等との相互作用を常に念頭に入れておかねばならない。 水素の溶解、拡散、捕獲、透過、表面反応は速度論で議論されることが多いが、常にその駆動力が何であるかに注意を払う必要がある。基本的には化学ポテンシャルの勾配が駆動力であるから、エンタルピーあるいは融解熱、捕獲エネルギー、生成熱等でだけで議論することは危険である。特に温度依存性を論ずる時は自由エネルギーを考慮しなければ間違った結論を導きかねない。さらに先に述べたように水素は、不純物として混入することが避けられ炭素や酸素との反応性が高いため、熱力学的には、H/D、D/T、H/Dの混合比だけでなく、系のQ/(Q2O) (Qは水素の同位体を代表)Q/CH4等を定めて現象を見ないと、大きな過ちを犯すことになりかねない。
本研究会の成果は、この同位体希釈、不純物効果を再認識し、単なるトリチウム測定では、学術的なデータにはならないこと、この特定研究が、あらためて水素同位体の挙動に関する学術を再構築するチャンスを与えてくれたものであるとの共通認識が得られたことであろうか。また、このチャンスを逃すと、そのような基礎的な、近未来にはできないことは確実であり、身を引き締めて研究に当たる決意を新たにできたことにもある。


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