核融合炉実現を目指したトリチウム研究の新展開核融合炉実現を目指したトリチウム研究の新展開
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略称/核融合トリチウム 領域番号/476
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科学研究費補助金 特定領域(核融合トリチウム)
第2回  C班 研究打ち合わせ会
議事録
日時:平成20年3月11日
場所:キャンパス・イノベーションセンター東京 2階 多目的室4

参加者
C01班 :  山西敏彦(日本原子力研究開発機構JAEA),林 巧(JAEA),
杉山貴彦(名古屋大),原 正憲(富山大)
C02班 :  波多野雄治(富山大),鳥養祐二(富山大),小田卓司(東大),
中村博文(JAEA),朝倉大和(核融合科学研究所NIFS)
総括班 :  田辺哲朗(九州大),西川正史

プログラム
午前
10:30-12:30 班長 挨拶(山西)
(1) C01班活動概要とトリチウム閉じ込めに関わる高濃度トリチウム水及び有機物の化学的現象解明(山西)
(2) 水同位体分離によるトリチウムの機能的閉じ込め(杉山)
(3) トリチウム水が物理的閉じこめ障壁に与える影響の解明(林)
(4) C01班におけるその他の成果・計画(静岡大での活動等) 領域代表コメント(田辺)
午後
13:30-16:30 (5) C02班活動概要と汚染材料からのトリチウム放出と汚染・透過防止技術(I)(波多野)
(6) 汚染材料からのトリチウム放出と汚染(II) (鳥養)
(7) トリチウム汚染・除染挙動を分析する手法の整備・構築(小田)
(8) NIFSにおける研究計画と関連研究状況(朝倉)
(9) JAEAにおける成果(中村)
16:30-17:00総合討論
17:00閉会


議事内容

(1) C01班活動概要とトリチウム閉じ込めに関わる高濃度トリチウム水及び有機物の化学的現象解明(山西)
C01班全体の状況が説明され、トリチウム水による容器材料の腐食など物理的閉じ込め(containment)にかかわる問題と、トリチウム水処理技術の開発など機能的閉じ込め(confinement)についての問題に取り組んでいることが示された。後者については、固体電解質を用いたトリチウム水電解において新規電極材料を開発したことにより性能が向上していることが報告された。また、実証炉へ向けた先進的水処理技術として期待されている、ゼオライト系吸着材を用いた同位体水分離技術の開発研究の現状が紹介された。これらの報告について、以下のような、議論・指摘がなされた。
・ 「機能的閉じ込め」という言葉は定義があいまいではないか。むしろ、トリチウムを安全に閉じ込めるための「機能」としてトリチウム回収技術等が位置付けられるべきであろう。C班は核融合炉の安全性について外部へ発信する立場にあるので、言葉の使い方には特に注意することが求められる。
・ ゼオライト系吸着材では水の吸着特性がSiO2/Al2O3比と共に大きく変化することが報告されたが、このような組成変化に伴い結晶構造等がどのように変化するのか、あわせて明らかにする必要がある。

(2) 水同位体分離によるトリチウムの機能的閉じ込め(杉山)
水−水素化学交換法によるトリチウム水処理について、カールスルーエ研究所(ドイツ)で実施された大型装置を用いたトリチウム分離実験の結果等が報告された。本実験で得られた分離係数が予測を下回る値であったが、これは装置の大型化に伴い液分散性に問題が生じたことが主因と考えられるとの説明があった。これを確認するため、名古屋大学において詳細なトリチウム実験を行う予定であることが示された。また、触媒活性を直接測定する装置の準備状況も報告された。
名古屋大学においても本研究に十分な濃度のトリチウムを取り扱うことができ、 またカールスルーエ研究所に比べより丁寧かつ詳細な実験が可能であるので、上述の問題が生じたメカニズムの解明とそれに基づくスケールアップへの指針確立が期待されるとの議論がなされた。

(3) トリチウム水が物理的閉じこめ障壁に与える影響の解明(林)
高濃度トリチウム水を安全に閉じ込める上で、容器材料の腐食がきわめて重要な課題であるとの指摘がなされ、放射線分解による生成物の分析・液性の経時変化・材料の腐食挙動などに関する研究成果が示された。また、金属表面(純鉄)からの水・水蒸気へのトリチウム移行挙動を詳細に調べたところ、実験開始初期にはかなりの量がHTとして移行するものの、時間の経過と共に大部分がHTOへ変化するという複雑な挙動が見られたことが報告された。以下の指摘・議論がなされた。
・ 高濃度トリチウム水を用いた実験を実施できる施設は世界でも限られており、貴重なデータが得られつつある。このような希少な機会を有効に活用すべく、C班全体で継続的に議論していく必要がある。
・ β線照射により生じるラジカルは材料を酸化する方向に働く可能性が高いが、γ線照射下では還元反応が起こる場合もあり、「酸化ありき」という先入観を持たずに研究を進めることも重要である。
・ 水や水蒸気により金属の酸化反応が進行する場合には、同時に水素が発生しているので、移行トリチウムの化学形を議論するためには軽水素を含めたマスバランスを考える必要がある。

(4) C01班におけるその他の成果・計画(奥野・原)
静岡大学における成果として、ステンレス鋼にイオン注入された重水素の脱離挙動に関する報告がなされた。試料表面に形成される酸化膜の状態により、昇温脱離スペクトルが大きく変化することが示された。重水素のイオン注入は吸着トリチウムを模擬する手段として妥当かどうか検討を要するとの指摘がなされた。
また、富山大学における成果として、有機物膜におけるトリチウム水蒸気の透過挙動を調べるために今年度作製された透過実験装置の詳細が示されると共に、今後の実験計画が説明された。有機物中のトリチウム透過挙動は膨潤状態などにも強く依存すると予測されるので、水蒸気のみならずトリチウム水を用いた実験も行うべきであるという指摘がなされた。

(5) C02班活動概要と汚染材料からのトリチウム放出と汚染・透過防止技術(I) (波多野)
C02班全体の状況と共に、富山大学で実施されているトリチウム透過障壁膜の開発研究、汚染材料からのトリチウム脱離挙動に関する研究、高濃度トリチウム含有試料調製法に関する研究の進捗状況が報告された。トリチウム透過防止障壁膜については、鉄鋼材料と熱膨張率が近いZrO2やMgOが有望であり、複雑構造物への施工も考慮してゾルゲル法などの湿式法による成膜技術の確立を目指して研究を進めていることが示された。また、汚染材料からのトリチウム脱離については、表面酸化膜中のトリチウムの存在状態を解明することが重要であり、C02班内で緊密に連携しながら研究を進めることが提案された。以下のような指摘・議論があった。
・ 結晶粒界がトリチウムの拡散経路となる可能性が高いので、トリチウム透過障壁に関する研究では、結晶質の材料のみならず非晶質材料も視野に入れるべきである。
・ C02班では主に材料学的見地から研究が進められているが、酸化膜表面における トリチウムの吸着・脱離については九州大学においても化学工学的見地からの研究が展開されており、両者の連携を十分考慮すべきである。

(6) 汚染材料からのトリチウム放出と汚染(II) (鳥養)
高濃度にトリチウムで汚染されたステンレス鋼からのトリチウム放出に関する研究成果が報告され、トリチウム放出がバルク中の拡散過程により律速されていること、大部分のトリチウムは気相の水蒸気との同位体交換反応を通してHTOとして放出されることが示された。水蒸気との同位体交換でトリチウムが放出されるため、軽水素を含めたマスバランスを考慮することにより、さらに詳細にトリチウム挙動が理解できるとの指摘がなされた。

(7) トリチウム汚染・除染挙動を分析する手法の整備・構築(小田)
まず,大型ヘリカル装置LHDの重水素実験において発生するトリチウムの管理方針について説明があった.作業者の安全を確保する上で,大気開放時に炉壁から放出されるトリチウム量の評価が重要であり,C02班で取得されるデータが重要な基礎データになることが示された.また,LHDが実験室レベルで取得されるデータの実機への適用性を評価するための重要なプラットフォームになるとの提案がなされた。
以下のような指摘・議論があった。
・ 各計算手法で評価可能な時間・空間スケールは必ずしも連続しておらず、また取り扱える系の大きさも限られているので、マクロな実験との関連付けについては継続して検討すべきである。
・ 今回提案された分子動力学用ポテンシャルモデルの構築法は物理的な背景が不明確ではあるが、汎用性は高く効率的なモデリングが期待できるため、その適用性について慎重に検討しつつ利用を進めてもらいたい。

(8) NIFSにおける研究計画と関連研究状況(朝倉)
大型ヘリカル装置LHDでの重水素実験におけるトリチウム管理の概要と、実験時およびメンテナンス時における排気系気体処理装置の構成とフローが示された。また、排ガス中のトリチウムを効率的に捕集するための中空糸状高分子膜除湿装置、および低濃度トリチウムを高精度に測定するためのプロトン導電体を用いた水素同位体ポンプの開発研究の現状が報告された。排気ガス中の組成および湿度の評価根拠について議論がなされた。

(9) JAEAにおける研究計画(中村)
トリチウム透過障壁として、鉄鋼材料表面に金メッキ層を形成させた場合の重水素透過挙動が報告された。また、水蒸気分圧など透過側環境がトリチウム放出化学形に与える影響を調べる上で、酸化膜が形成されない金は参照材料に適しているとの提案がなされた。透過側を高真空に保った場合には重水素は元素状で放出されることが示さると共に、透過側の水蒸気分圧と放出化学形の関係を調べる計画が説明された。また、金メッキにより透過速度が約2桁減少することが報告され、これは金中の水素同位体溶解度が低いことに帰することができるとの説明がなされた。金メッキ層中の水素透過機構について議論が展開された。


*領域代表コメント(田辺)
特定領域において研究を展開するに際し、特にC班に期待することとして以下のコメントがあった。
・ C班の研究成果は核融合炉の安全性確保の基盤となるものであり、安全にかかわる指針を策定するつもりで頑張ってもらいたい。
・ トリチウムは他の同位体で希釈されている場合が多く、特に同位体効果を議論する場合にはこの希釈効果や、微量不純物の影響を十分に考慮する必要がある。すなわち、トリチウムの挙動を解明するためには、共存する軽水素や重水素の挙動も同時に理解する必要がある。
・ 一口に同位体効果といっても、気相中の並進・振動・回転運動にも、また表面反応速度やバルク中の拡散速度にもそれぞれの同位体効果がある。それぞれをきちんと区別して議論すべきである。
・ 室温付近でのトリチウムの挙動を議論する際に、高温で得られたデータを単純に外挿して用いるのは危険であり、きちんと室温付近でデータを取得する必要がある。
・ 来年度から公募研究がスタートするので、各計画班は公募研究との連携も十分考慮して研究を進めるように。

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